本題・サイドワインダー

中学生の頃は、半月に一度くらいのペースで家族揃って外食をしていました。
食べ盛りの中学生、しかも一応運動部所属ということで美味い飯というのは実に楽しみでしたが、それ以上に楽しみだったことがあります。
それは食後の寄り道。主にブックオフに立ち寄っては漫画やゲームの攻略本を立ち読みしたり買って帰ったり。
何しろ田舎の街外れに住んでいたもので、街中のそういったスポットに、それも夜に立ち寄れるというのは実にワクワクする体験でした。
同時にその場は未知の漫画やゲームとの出会いの場でもありました。当時エースコンバットから戦闘機の世界に入ったばかりの小生は、とあるゲームの攻略本を手にします。
ゲームタイトルは「SIDEWINDER2」。当時エスコンと人気を二分していたフライトシューティングです。しかもその攻略本はゲームに収録されている機種の実機を写真付きで解説しているという内容。実に心踊る内容に魅せられ、苦心の末にソフトも手に入れました。
そして起動した自分を迎えたのは、(当時としては)圧倒的なクオリティのオープニングムービー。

そして心震わすBGM。

CD-DA再生なのを良いことにゲームを出来ない時もずっと聞いていたものです。特に動画の最初の曲は未だにヘッドバンキングが止まりません。
……で、まあその年頃の知識と感覚ですので『2が面白かった=1もやろう』という思考に至るわけです。980円という値段に何の疑問も抱かず中古で買いましたよ、ええ。
決して悪いものではありませんでしたが、やはり2の後ではグラフィックもゲーム性もボリュームも大きく劣っているわけでして。
しかしながらBGMに関しては2以上にツボに入っていました。こちらもCD-DA再生でしたので存分に堪能したものです。

 
時は流れてPS2を持った高校時代。エスコン04というゲーマー人生の記念碑が建った後に気まぐれで購入した3作目、MAX。
PS2初のフライトシューティングという触れ込み、逆に言えば後発のエスコン04にはどうしても……というわけです。
しかしエスコンに先駆けて「人物」と「物語」を全面に打ち出してきたという点では評価をされるべきだと思います。
もっとも、エスコンに比べてリアル路線を進んでいただけに決して評判は良くないのですが(エナジーエアフォースも後年同じ轍を踏みましたね、そういえば)。
リアル路線というのも考え物で、エスコン型プレイに慣れた身には操作感覚以上に武器の搭載数がネックでした。あとL型なのに後方からしかロックできないAIM-9とか。タイトルと同名のミサイルなのに使い勝手悪すぎるよ! そして何よりも終盤の地味なミッション。ひたすら敵航空基地の空爆と輸送部隊の襲撃を繰り返します。使い回しのマップを交互にプレイさせられて、バグでも起こっているんじゃないかと心配になったものです。
ただ、これはコレでアリだと思ったのも事実です。華々しい活躍で戦況を一変させるのとはまた違った「職業軍人」な空気を体感できました。被弾箇所によって一撃で落とされたり、ズダボロになりながらなんとか飛び続けたりというのもベイルアウトができるシステムと相まってロールプレイが楽しいものでした。友軍が避退するまで後衛戦闘を完遂し、エンジンが死んだのを見計らって脱出する……ということもあって、実に脳汁でした。

BGMも相変わらずカッコいい。
 
その後のFは―――大学に行ってから中古で買って、多分一ヶ月もブレイせずに手放してしまいました。「リアル」と「奇天烈」のバランスが悪かったのが最大の原因ですね。
エスコンとはまた違った、有り体に言ってしまえば動かしにくい操縦性であるにも関わらず、エスコン1の最終面を丸パクしたような空中要塞が出てきた挙句、そこをトンネルして撃破しろと言われて完全に興醒めしました。
エスコンとは違う道を歩むからこそのサイドワインダーではなかったのか。なぜこんな劣化コピーのような真似をするのか。
そんなこんなで5には全くタッチすることなく、サイドワインダーシリーズとは道を違えてしまった今に至るわけです。
皮肉というか悲惨な話ですが、自分が最後にプレイしたサイドワインダーは「THE・宇宙大戦争」になります。ええ。
 
それでもまだ胸を熱くするハードロックと、他のフライトシューティングでも頑なにコクピット視点に拘る姿勢は紛れもなくこのシリーズの薫陶だと思っております。