時代小説

最近の読書は専ら時代小説に偏っています。
なんか世間でもブームになっているようですが、こっちにしてみれば大学入学時に持たされた藤沢周平の本が部屋の掃除の折に見つかって、それ以来のハマりなんですけども。
最近は帰省すれば本を読んで一日が終わるという健康的な目に遭います。
かつての自室も次第に母上の蔵書に埋められ始めています。
机の上には村上春樹1Q84の第3巻と、山積みになった佐伯泰英
しかし母上は「今はこっちの人が面白い」と別の山を指したのです、
それがこちら。

破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)

破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)

上田秀人の「勘定吟味役異聞」シリーズ。
作者は江戸時代マニアであれこれ調べて知識を深めていくうちに時代小説を書き始めてしまった歯医者さん。
文体そのものは平易(悪く言えば平凡)ですが、いざチャンバラシーンとなると途端に躍動感溢れる描写が冴え渡ります。
主人公が強い強い、見切りと間合と一撃必殺を身上とする流派、一方流で襲い来る敵を次々と。一冊で10人は軽く斬ります。必殺技まであります。
そんな主人公を遥かに凌ぐ師匠がいたり、ツンデレを地で行くヒロインの街娘がいたりと、いつコミカライズされても大丈夫だな!と言いたくなります。
その一方で当時の風俗に触れたり、新井白石ら幕閣での政争なども描写され非常に読み応えがあります。
「時代小説」と聞いて堅苦しいイメージがあって敬遠している人、ラノベを卒業したいけど何を読んだらいいのか解らない人に。
「好き」というのはシリーズ作品を産んでしまうほどのパワーがあるのでしょうね。