渚より立ちて

トランスフォーマーリベンジとエヴァ破をまとめて観てきました。烏丸です。
前置きを捨て置くほどの衝撃に見舞われ未だに前後不覚で、洗剤を買って帰ってくるのを忘れました。
 
TFリベンジは、一緒に行った友人の言を借りれば「観に行かなければ50年後に後悔する」映画。
ロボットものが少しでも好きならば多少の無理をしてでも観に行くべきです。
人と機械が心を通わせ、巨大な悪に立ち向かう。この王道に心震える人であるならば特に。
 
 
それすらも前置きになってしまいます。新劇場版エヴァンゲリオン・破。
見終わった感想を一言で述べるなら「明日からどうやって生きていけばいいのか解らない」。
後述する「特定の条件」に当てはまる人にはオススメできまん。
以下ちょいと長いので注意。大きなネタバレはありません。観に行くか迷っている人はどうぞ。
 
 
 
「今更エヴァ?」と嘲笑を込めて言う人が居ます。
例に漏れず、10年ほど前に真っ赤な海の浜辺で死魚の目をしたアスカから「気持ち悪い」と言われたまま蹲って泣き続けているシンジくんたちです。
結局エヴァとは何だったのか?
庵野秀明によるウルトラマン式ロボットアニメの失敗作です。
では新劇場版エヴァとは何か?
女の子の為に弱虫の男の子が歯を食いしばって巨大な敵に立ち向かうロボットアニメです。
それは「序」のラストから非常に顕著になり、「破」では前半からそのノリです。
綾波やアスカがそんなシンジくんに惚れていきます。納得です。
リアルタイムで見ていた人には14年前、小生には10年ほど前ですが敢えて14年と言わせて頂きます。
その頃、エヴァという作品に対して「こうだったらいいのにな」というフラストレーションが蔓延していました。
しかしまあ、そうは思ったところで実際には出来ないもんです。
小中学時代、色々と上手く行かなかったことを思い出して「今の俺ならこうできるのに」と埒も無い悔恨を抱くのは誰にでもあることでしょう。
 
だから、やってみた。そういう映画です。
新劇場版のシンジくんは強いです。いや、強くないかもしれませんが決して弱くはありません。
けどあの頃「こうしていれば」「こう言っていれば」と思っていたことを、3人のチルドレン(そういえばこの呼称が使われてなかったな)がやり、言うのです。
少々バレになりますが、今回の範囲はテレビ版で言うところの第7話「アスカ、来日」から第19話「男の戦い」まで。
しかし今日、破の終盤を見た後では19話など「餓鬼の駄々コネ」でしかありません。
よくぞやってくれた。そしてよくもやってくれた。
俺たちが見たかったエヴァはこれだ。製作元ロゴ画面でウルトラマンの変身効果音を平然と鳴らす愚行を、ワンダバが聞こえそうなネルフ本部を見たかったんだ。庵野マジやりたい放題。
明日からまた二年近くお預けを喰らうワケですよ。もうどうやって生きていけばいいんでしょう。
というわけで、上に述べた「特定の条件」というのは「ロボットものと耳にしただけで人間としての精神を跡形もなく喪失し、製作者は勿論視聴者の血縁交友関係に至るまで皆殺しにし、その存在を完全に抹消しなければ全身から血を吹いて死んでしまう」といったところです。
そうでなければ少なくとも「ふーん」ではなく「へー」くらいは最低でも聞けるでしょう。
ロボットアニメが好きならば「おおー!」と言うでしょう。
軍ヲタなら「ふへっふへへへふっふふっへへへ」と笑うでしょう。
そして上記したような渚のシンジくんたちは溶けてLCLになって補完されてしまうでしょう。
エヴァというものに縛られ続けた者たちへの鎮魂歌であり、新たなエヴァのオーヴァーチュアです。
もし「序」をまだ見てないので、今度の金曜ロードショーで見ようというのでしたら、土曜日の予定は空けておきましょう。
 
でも一番やりたい放題なのは庵野よりも、綾波を可愛く描き放題な摩砂雪だと思うの。