埃にまみれた服を払った

どんな羽をくれるの? 烏丸です。
思えば小生の人生、試験と名の付くものはことごと躓いて参りました。
受験でも就職でも、自動車免許でも。
だけれど今日という日だけは、幸いにも例外だったようで。
無事に二輪教習の卒業検定を修了しました。
平成ライダーを見て、微かにバイクへの憧れが燻った高校時代。
カタログを眺めては縁の無い世界だと、水槽を覗き見るような心で諦めていました。
想いを馳せるは専ら四輪車。けれどもその現実はあまりに重い。
憧れを満たすものは手の届かない遠い存在。そんな折に知った二輪の世界。
最初に触れたときは、手に追えない暴力を秘めた鉄塊にしか思えなかった教習車。
いつの間にかそこへ血が通ったかの如く意思疎通ができるようになった感動。
ありがとう、CB400SFK。これでお別れだ。
面妖な話ですが、共に検定を受けていた人たちと話すと教習車のことを「こいつ」とか「この子」と呼んでいるんですよ。
この一体感と、そんな恥ずかしいことを口に出来てしまう世界。それが二輪の魅力なんだと思います。
 
受かった喜びをそのままに、教習所近くのバイク店へと足を運ぶ。
アレコレと目を輝かせて見回してる不審人物に優しく対応してくれた店員さんありがとうございます。
実際に購入する際の保険や分割払いなどの様々なケースを具体的な数字で見積もってくれたり、書き換え前なので試乗は出来ずとも足付き確認や空吹かしまでさせてもらったり。
現実的な、そして実現可能な目標がハッキリと提示されたことでより一層モチベーションを上げていけそうです。
 
そして帰宅後、父から電話。メールで合格は伝えてあったので何かお言葉を頂けるかなと出てみたところ
「いやあ、私もバイクの免許取ろうと思ってね」
おい還暦過ぎ。
なんでもふとテレビで見た古いトライアンフに何かを刺激されたらしく、小型二輪でもいいので乗りたくなったとのこと。
多分いつもの酔った勢いでの大言壮語だろうと思いつつ、あれこれとバイクの利点と大変さを述べて・・・
どことなく止めようとしている自分に気付いたその時、ああこれが家族の気持ちなんだと気付いて次第。
自分のことなら危険と言われようと乗ってやる!と思うけれど、周囲の人の心配もまた当然のものなのだと。
卒業後に、なんとも深い教習を受けてしまったものだとニヤついております。